「チェーン日記雑感」#00172006/09/29 00:00:00

mixiでチェーン日記が流通している。
「LAで行方不明になった男性を捜す文面をコピペして広めて欲しい」
という趣旨のものだ。1週間ほどかけてじわじわ広まったらしい。
検索をかけると1万5千件以上ヒットするという(2006/9/29の午前中)。
 
こういうのは、いつの時代になっても完全になくなることは
ないのだろうけど、折角の機会なのでちょっと考えてみる。
 
「ご協力ください」なんて日記を書いている人は一人ひとりは、
みんな善意で動いているわけで、事実またネット上では少数ながら、
この手の運動が奏功した「美談」があったりするから、
いつになってもこの手の問題はなくならない。
 
ある程度のネット経験者は「チェーンメール化するものに対しては、
内容の是非とは別に、関わりを持たない」という基本的なスタンスが
身についている(マナーといってもいい)のだけれど、
いつの時代にも当然のことながらネットビギナーはたくさんいるわけで、
同じことが繰り返される。 これはもう止めようがない。
 
議論は「伝えている情報が善意ならチェーンメール化してもいいのか」
というような話になって盛り上がるんだと思うけど、
インターネットがいまのようなものであって、
チェーンメール(今回はチェーン日記)が引き起こす事態が、
結果的にいつも同じような「ていたらく」になることを考えれば、
少なくとも現状のインターネットにおいては
「避けた方が望ましいこと」と考えるしかない。 内容の是非ではなく。
 
「デザインによる解決」っぽい視点を提起するなら、
「チェーンメール化してもなお、どこにも支障がなく、
しかも目的を達することができるモデル(インフラ)」
をデザインできれば、やってもいいようになるかもしれない。
でもそれまではダメだ。
 
その行為がどんなにあふれんばかりの善意に満ちていても、
元々それに向いていない場所で向いていないことをしたら、
不幸な結果を招くのがオチなのだ。
 
病人が大好きな曲だからと、1日中同じ音楽を流し続ける病室。
うちの子も夢中な名作だからと100回も『となりのトトロ』を見せる親。
好きで好きでたまらないからと何年にもわたり続けるストーキング。
100%善意の行為だったとしても迷惑は迷惑。みんな同じことだ。
 
健康食品やサプリメントなど、何か流行るものがあると必ず数年以内に
「過剰摂取して死亡」なんてニュースが出てくる。
過剰でいいものなんて何もない。というだけの話かも知れない。
*追記
 「自己増殖する情報」というネットのパワーを否定するものではない
 ということを慌てて書き添えておく。
 それを骨抜きにされると、話はまた別な困った様相を呈することになる。