◇ なんまんDUB2011/06/15 02:10:06

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

なんまんだぶ唱えるラインマン
読経に夢中で注意散漫
判定に不満なサポーター四万
ラインマン逆ギレやる気満々

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

憤懣やるかたない老いたガンマン
にじりよる動きはいたって緩慢
対決の勝者は決まってワンマン
仲裁に割って入る男は金満

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

「ジョン万次郎も観たライオンマン
 舞台のセットだけで幾千万
 これ観て仲直り指切りげんまん
 お代は二人でたったの両萬(リャンマン)。

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

収まらん満場の怒りバイ(倍)キンマン
そんな時ゃみんなで食べようあんまん
これさえ食べれば心も円満
ラインマンもガンマンも仲良く円満

あんまん食べれば訪れる円満
爛漫の春に食べようあんまん
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

あんまん食べれば訪れる円満
爛漫の春に食べようあんまん

(「あんまん」ordered by さんぽ-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ 四股ふみババア2011/06/09 08:05:54

四股ふみババアがやってきた。
腰に巾着ぶらさげて。
フランダースの犬も鳴く。
ミンダナオの空に鳴く。

バンカラ大将がやってきた。
バス代ケチって自転車で。
あっぱれ天下に名が響く。
がっぷり四つに取り組めば。

 やましいことなど何もない。四股ふみババアにゃかなわない。
 ツベルクリンも受けてるさ。三種混合も受けてるさ。
 敵もさるもの引っかくもの。あの手この手で攻めて来る。
 希望を砕きに攻めて来る。そこで出番だ四股ふみババア。
 平にするのさ大地も心も。怒れるナマズの心を鎮め。

四股ふみババアは大暴れ。
こどもは泣き出し大人は怒鳴る。
笛吹きゃ太鼓も鳴り渡る。
ミュートのペットも鳴り渡る。

バンカラ大将手合わせし、
場末の見せ物大盛況。
アタシにまかせな、どんとこい。
 アタシにまかせな、どんとこい。

(「四股ふみババア」ordered by Zackey!-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ アザラシは落ち葉のように眠る2011/05/07 20:09:00

 アザラシは落ち葉のように眠る。
 ざぶりゆらゆら、くるりんくるりん。
 ラクラク浮かんだ兄さんは大水槽の中、
 してやったりと笑みを浮かべるの。

 羽根のように短い腕をいっぱいに広げ
 おもむろに水槽の底に潜るアザラシ少年。
 小さくくるりと水中にらせんを描き
 薔薇の香さえも漂わせつつ。

 脳みその使い道をみんなは知らない。
 喜んで生クリーム占いだって信じる奴らさ。
 うんざりするぜ、と観客を小馬鹿にする兄は、
 にんまり笑って見物料を巻き上げるのだ。

 熱湯の中、蒸発してしまった兄さんを、
 夢遊病のように求めるわたしの望みは
 流浪の一族をいま一度旅に連れ出すこと。
 流浪の一族の遺骨をただ旅に連れ出すこと。
 
(「生クリーム占い」ordered by たいとう-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ 忘れられた老召使2011/03/05 18:27:03

忘れられた老召使はその後も、
忘れられた土地のそのまた片隅の
忘れられた館のそのまた一部屋で
暮らしていた。ひとりきりで。

忘れられた老召使は朝早く起き、
足音も立てずてきぱきと
忘れられた館を見て回り、
何も支障ないことを確かにする。

忘れられた老召使の朝食はささやかだ。
忘れられた雌鶏が生む卵以外は、
忘れられた裏庭で栽培する
いくつかの野菜と手製のドレッシング。

ぱりっと糊の利いた制服、
皺一つなくアイロン掛けしたシャツ、
ぴかぴかの靴、整った髪。
背筋を伸ばし歩く、ひっそりすばやく。

何に仕えてるんだ、忘れられた老召使?
何を守っているんだ、忘れられた老召使?
君の知ってる人はもういない。
君の知ってる家はどこにもない。

やがて忘れられた老召使は
不確かな噂となって
人々の口にのぼるようになる。
「確かに見たんだ。前世紀の召使の姿を」

炎天の、暑い夏の真っ盛り、
場違いに分厚い制服を着て
何か目的でもあるようにすたすたと
敷地の端を歩く君の姿が目撃される。

雪に閉ざされ動くものひとつない
早い冬の夕暮れ、君の足音が聞こえる。
ぎしぎし雪を踏みしめる足音が。
何一つ見落とさない責任感に満ちた足音が。

何に仕えてるんだ、忘れられた老召使?
何を守っているんだ、忘れられた老召使?
君の知ってる人はもういない。
君の知ってる家はどこにもない。

忘れられた老召使はいまもここにいる。
館は取り壊せても、木は伐り倒せても、
人は立ち退かせても、土地は均せても、
ここはここだ、君がここにいる限り。

恐怖と好奇の心が君を伝説に仕立て上げる。
君は君自身についての物語の主人公となって、
人々の心の深く暗い部分を支配できる。
そう。今度は、人々が君に仕える番だ。

(「忘れられた老召使」ordered by shirok-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ モーニング・ティー(write like singing)2011/02/25 07:56:23

せっけんのレリーフに描かれてるのは太った犬だとばかり思ってたから、
わたしは信じていた。せっけんの「けん」の字は「犬」って書くんだと。
だからレリーフの絵が本当は牛だと知った時はがっかりしたんだ、なんだかね。
わたしには犬のままで良かった。犬のままの方が良かったのだ。

一口すするモーニング・ティー。
失われた犬のせっけんを悼むモーニング・ティー。

そんな小さかったころの思い出が急に、蘇ってきたのは他でもない夕べの
あの小さなすれ違いのせい。あなたが次と言った時、わたしは今度のことと思った。
こうして来週の日曜日は今週の日曜日とまざる。今度の次が次なのか、
次の今度が今度なのか。何度聞いてもわからない。誰に聞いてもわからない。

一口すするモーニング・ティー。
失われた週末を悼むモーニング・ティー。


ティントン教会の鐘が鳴る。満月浴びた尖塔の先にあるはずの十字架が、
なぜだか今夜はよく見えない。それは黒い猛禽類が上に乗っているせいだよと
怖い声出しとうさんは、わたしをおどしたつもり。だけどわたしの頭には
もくもくした菌類が十字架をすっぽり隠している絵が浮かぶ。

一緒に飲もうかモーニング・ティー。
いまはもう間違えなくなったけど。子どもの勘違いも悪くなかったよ。

いれてちょうだいモーニング・ティー。こんな気分の朝だから。
一緒に飲もうよモーニング・ティー。湯気の立つよな熱いのを。
わたしの中に住む子どもと、あなたの中に住む子どもの
おろかでかわいい思い込みを慈しんで悼もうよ。

いれてちょうだいモーニング・ティー。こんな気分の朝だから。
一緒に飲もうよモーニング・ティー。湯気の立つよな熱いのを。

(「モーニング・ティー」ordered by あとう ちえ-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ 忍びの流儀2011/02/15 07:38:50

声に出して耳で聞いて響き合って優秀
並ぶものをいまだ知らず我は潜り探る血筋
緻密の武術、人知れず修習
はばたきも舞いもまとめて吸収

誰にだって人に言えずかかえるものさ憂愁
誇り持ちて守り抜きし父祖の技は三筋
美々津の伝承、人知れず蒐集
片時も忘れはしない九州 

いまだ我は自由ならず心つねに幽囚
忠誠と裏切りの先へ走り抜けるS字
秘密の情報、人知れず収集
手羽先を供えて食べる旧習

声に出せよ耳で聞けよめざし飾れ有終
姿隠す必要ももはやない伸ばせよ背すじ
機密の混乱、人知れず収拾
矛先を転じたちどころに急襲

(「急襲」ordered by ハンサム-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ 後悔2011/02/11 23:22:25

 グレゴリーの浜辺に
 懐かしき星見る
 腕の中に 眠る未来
 かなわぬ想いと
 夢と聞く片手に
 遥かな声求めん

 アレゴリーの夕べに (いつしか)
 濡れし砂踏みしめ(こぼれる)
 凍る夜空 響く電話(ての)
 届かぬまなざし(ひらを)
 時を止めあの声(おしえて)
 この胸にいだかん(たどるみち)
 
 グレゴリーの調べ聴く

(「後悔」ordered by tom-leo-zero-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ くしゃみしてぎっくり腰の唄2011/02/11 23:13:31

くるくる回って くたびれても、悔やむことなく、来るの 首長くして待つ。

しばらく経って、シカトされても、性懲りもなく、執念深く、しがみつくよ。

やっぱり、やめた。やぶれかぶれだ、野菜まみれで、ヤンバルクイナだ。

みごとな仕事、見上げた態度、ミサンガ切れりゃ、みな、満たされる。

しとしと聞こえる、時雨の音か、しみじみ味わう、正月の 静寂(しじま)。

てなこと言われて、手羽先買って、テクノカットで、天気占う、寺の境内。

ぎょろ目の 犠牲者は、銀縁眼鏡に、儀式張った、ギリシャ彫刻風。

つらそうな 呟き 次々 連なる ツイッター。

くねくねうねって、くしゃくしゃ笑って、くしゃみした途端、苦痛のあまり、くらっとする。

りゅうとした 立派な身なりの 力士さえ、リアクション芸人みたいに 臨終する、 

腰の痛みに、腰砕けになる、腰巾着を、腰抜け呼ばわりする 腰元ひとり。

(「くしゃみしてぎっくり腰」ordered by Zackey!-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ ぼくのおかあさん(EDテーマ)2011/02/11 23:09:11

母「スタイリッシュマウンテン!」
ぼく「あ? う、うん」
母「適当に相づちを打ってるんじゃないわよ! 」
ぼく「(どう答えりゃいいんだよ?!)」

     *

今朝の作品キャビートル?
細部もこだわり、造形完璧。
キャベツの千切りかっちり固めて
誰が見たってフォルクスワーゲン。

だけどかあさんこれは朝ご飯、
造形なんかなくていい。
ほらねかあさんみんな朝ご飯に、
芸術性は求めない。

母「お母さんはね、お母さんはね、
 そんな子に育てた覚えはありませんだわよ!」

     *

どこから来たの白雪姫?
ディズニーアニメそのままに。
素材も選り抜き、裾あげ美麗、
みんなにほめられ有頂天。

だけどかあさんお楽しみ会の
客席で目立つ必要ない。
ほらねかあさん幼稚園では
保護者は基本主役じゃない。

母「たとえお天道様が許してもね。
 孟宗竹は孟宗竹にほかならないのよ!」

     *

(call & response)
母「さあ、叫んでご覧。
 エスクレメントー!」(「エスクレメントー!」)
母「おけはざまー!」(「おけはざまー!」)
母「ランディ、マンディ、メクルディ!」(「ランディ、マンディ、メクルディ!」)
母「のそのそパワーの全裸回転!」(「のそのそパワーの全裸回転!」)

     *

スタイリッシュマウンテンどこにある?
テーマパークにありそうだね。
クリスタルパスネットってどんなもの?
テクノロジーの最先端ぽい。

だけどかあさんわからない。
頭の中覗いてみたい。
ほらねかあさん他のうちじゃ
冬に花火なんかしない。

     *

(call & response)
母「さあ、叫んでご覧。
 エスクレメントー!」(「エスクレメントー!」)
母「おけはざまー!」(「おけはざまー!」)
母「ランディ、マンディ、メクルディ!」(「ランディ、マンディ、メクルディ!」)
母「のそのそパワーの全裸回転!」(「のそのそパワーの全裸回転!」)

     *

だけどかあさんわからない。
頭の中覗いてみたい。
ほらねかあさん他のうちじゃ
冬に花火なんかしない。

だけどかあさんそれでいい。
ぼくのかあさんはそれがいい。

     *

母「ようこそお帰り未来の王よ!」
ぼく「それほめてるの?」
母「クリスタルパスネットをお出し!」
ぼく「わけわかんないよ!」

(「“歌詞(おかあさんシリーズの言葉で)”」ordered by tom-leo-zero-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ 転戦スケーターの回心(四ステップで)2011/02/11 23:00:10

四国の山からきた本妻連。
回帰本能うずく訛り混在弁。
転戦につぐ転戦みな凡退戦。
 決まらねえ決まらねえ四回転。

四ッ谷で見たよ周恩来伝。
回春の秘訣はなんと温菜麺。
転機を迎えてなお御大然。
 そんな風で決めてやりてえ四回転。

四の五の言わずにめざせ尊大念。
回想するまでもなくおれ本来変!
転調するメロディー名づけて「盆栽展」。
 悪いかこれがおれのめざす四回転。

四面楚歌でも、我、存在せん。
回避無用。転んでもいいドンマイメン。
転ばず決めるぜ四回転!
 転ぶことなく決めるぜ四回転!

(「四回転」ordered by 又一-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)