お題インデックス2011/12/31 00:00:00

★★★ 最新情報 ★★★
2011年7月1日よりパブー(ブクログ)にて電子書籍化を開始。

hirotakashinaさんの公開中の本

全作品新たに手を入れた2011年版。基本無料です。
1日1作品ずつ発表するのでこの機会にぜひ

mixiでは第3期(201話〜300話+追加の11話)も終了。
ここでは、初期の100篇に加え、企画ものと連動した作品をピックアップ。

【主な企画作品】

■公演「STYLE 2nd」で使用したテキストは2011年版のSFPの12番目の作品

「207個ある!」


■公演「STYLE 1st」出演に際して使うことにしたSFPの311番目の作品

「ぼくが今ここにいる意味」


■2011年3月14日よりTwitter上で始まった
「140字のSudden Fiction Project」が進行中。

お題はこちら!


■即興ボカロ曲芸師のtom-leo-zero氏がSFPのナンセンス詩に
曲と映像をつけてアップするプロジェクトも継続中。

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【お題】インデックス[ボカロ連動篇]/2011.06.9更新

【お題】あんまん

【お題】四股ふみババア

【お題】忘れられた老召使

【お題】モーニング・ティー

【お題】急襲

【お題】後悔

【お題】くしゃみしてぎっくり腰

【お題】"歌詞"(おかあさんシリーズのことばで)

【お題】四回転



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また、2009年9/29までRICOH本社2階プリンティングイノベーションセンターで開催された

木から生まれた「絵」と「ことば」展

と連動したスペシャル版Sudden Fiction Projectを公開しています。

「木から生まれた〜」展で見かけたあの1行から始まるものがたりを
Sudden Fiction形式でお届けします。どうぞお楽しみください。

【SP20】杉×London

【SP19】某×妖精

【SP18】桜(後篇)×野外公演

【SP17】桜(前篇)×野外公演

【SP16】栗×月の沙漠

【SP15】来[5]×電話

【SP14】柳×ウクレレ

【SP13】来[4]×期限

【SP12】本×初めてのこと

【SP11】来[3]×約束

【SP10】楚×ビリヤード

【SP9】来[2]×伝言

【SP8】条×こわれたやかん

【SP7】来×荷物

【SP6】梵×月面の足跡

【SP5】楽×投票

【SP4】梟×190

【SP3】木×万年子分肌の10歳年上の人の下で仕事をする」 というややこしいシチュエーション」

【SP2】杖×皇居から見える東京タワー

【SP1】森×平熱が低い男



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【お題】インデックス[1-100]

【お題100】魔女

【お題99】みずみずしい

【お題98】海岸漂流物収集家

【お題97】左手

【お題96】お好み焼きをおかずに白米を食べる理由

【お題95】桜

【お題94】ごほうび

【お題93】カタコンベ

【お題92】安本丹

【お題91】殺人事件後

【お題90】お楽しみ会

【お題89】お誕生日

【お題88】ため息

【お題87】診断書

【お題86】ウンコマン

【お題85】2009 屋久島での出来事

【お題84】太平洋戦争/米国敗戦

【お題83】リセット

【お題82】寝言

【お題81】ブックバトン

【お題80】噴水

【お題79】凍りついた海を駆ける

【お題78】嬉しい!

【お題77】雨の日に

【お題76】空心菜

【お題75】お姉ちゃん

【お題74】ももくる春

【お題73】宝箱と金曜日

【お題72】Wブッキング

【お題71】花嫁への言葉

【お題70】間違い電話

【お題69】シェラザード

【お題68】残り火

【お題67】視力

【お題66】飲料水

【お題65】踏み台

【お題64】黒点

【お題63】シャコンヌ

【お題62】リンク

【お題61】そこをなんとか

【お題60】転生

【お題59】彼しか知らない、彼女のほくろ。

【お題58】名刺

【お題57】スパイス

【お題56】サニーサイド

【お題55】おめでとう

【お題54】兄弟

【お題53】ロスタイム

【お題52】鏡と扉

【お題51】パスワード

【お題50】空からの手紙

【お題49】偽計と偽装

【お題48】熱帯の雪

【お題47】僕はなぜ急ぐのかだれか知らないか?

【お題46】MJQ

【お題45】お題

【お題44】帰り道

【お題43】ポストイット

【お題42】蟻

【お題41】三谷幸喜

【お題40】目覚まし時計

【お題39】198円

【お題38】骨董女

【お題37】急募!「お題」

【お題36】七草粥

【お題35】リクルートスーツ

【お題34】流星群

【お題33】単館ロードショー

【お題32】5円玉

【お題31】あいうえお

【お題30】門松

【お題29】恋

【お題28】無意識の中の意識

【お題27】色気とセクシー

【お題26】正月晴れ

【お題25】大晦日

【お題24】キャベツ

【お題23】サイコロ

【お題22】天国と地獄

【お題21】カウントダウン

【お題20】ワールドカップ

【お題19】ハレルヤ

【お題18】生え抜き

【お題17】ハングル

【お題16】豚の貯金箱

【お題15】いかさま

【お題14】影

【お題13】ドライフルーツ

【お題12】骨

【お題11】おじいちゃんの帽子

【お題10】廃墟

【お題9】学習塾

【お題8】レセプション

【お題7】火星の石

【お題6】ご不在連絡票

【お題5】ウツボ

【お題4】 鈴木さん

【お題3】駅のホーム

【お題2】リモコン

【お題1】カーテン

◇ ネガティブ・ハート・シュレッダーハウス20112011/11/11 22:53:00

 空から見えない毒が降り注いでる。
 海の先から見えない罠が迫る。
 暗くて長い道を歩いてきたよ。
 どの曲がり角も腐った匂いがした。

 目をそらしちゃいけないと思うから、
 目をそらさずに見つめ続けてきたんだ。
 だけどこんなこと続けられてやしない。
 目か耳か心が世界より先に壊れちまう。

 ネガティブ・ハート・シュレッダーハウス
 おいでよ刻めよ取り出せばらまけ胸の中のクズたちを
 ネガティブ・ハート・シュレッダーハウス
 たまには心を連れ出し海でも山でも見せてやれよ。
 
 こっちの方じゃその場しのぎの嘘ばかり。
 あっちの方じゃ独裁者たちが逃げ惑う。
 狭くて寒い部屋に閉じこめられてたよ。
 でもドアはそこにある君は開けられる。
 
 ネガティブ・ハート・シュレッダーハウス
 おいでよ刻めよ取り出せばらまけ胸の中のクズたちを
 ネガティブ・ハート・シュレッダーハウス
 たまには心を連れ出し海でも山でも見せてやれよ。
 たまには心を連れ出し鳥でも花でも見せてやれよ。
 たまには心を連れ出し虫でも星でも見せてやれよ。
 たまには心を連れ出し風でも愛でも見せてやれよ。

(「ネガティブ・ハート・シュレッダーハウス」ordered by mina5east-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ なんまんDUB2011/06/15 02:10:06

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

なんまんだぶ唱えるラインマン
読経に夢中で注意散漫
判定に不満なサポーター四万
ラインマン逆ギレやる気満々

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

憤懣やるかたない老いたガンマン
にじりよる動きはいたって緩慢
対決の勝者は決まってワンマン
仲裁に割って入る男は金満

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

「ジョン万次郎も観たライオンマン
 舞台のセットだけで幾千万
 これ観て仲直り指切りげんまん
 お代は二人でたったの両萬(リャンマン)。

なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

収まらん満場の怒りバイ(倍)キンマン
そんな時ゃみんなで食べようあんまん
これさえ食べれば心も円満
ラインマンもガンマンも仲良く円満

あんまん食べれば訪れる円満
爛漫の春に食べようあんまん
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ
なんまんだぶ、なんまんだぶ、DUBだ

あんまん食べれば訪れる円満
爛漫の春に食べようあんまん

(「あんまん」ordered by さんぽ-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ 四股ふみババア2011/06/09 08:05:54

四股ふみババアがやってきた。
腰に巾着ぶらさげて。
フランダースの犬も鳴く。
ミンダナオの空に鳴く。

バンカラ大将がやってきた。
バス代ケチって自転車で。
あっぱれ天下に名が響く。
がっぷり四つに取り組めば。

 やましいことなど何もない。四股ふみババアにゃかなわない。
 ツベルクリンも受けてるさ。三種混合も受けてるさ。
 敵もさるもの引っかくもの。あの手この手で攻めて来る。
 希望を砕きに攻めて来る。そこで出番だ四股ふみババア。
 平にするのさ大地も心も。怒れるナマズの心を鎮め。

四股ふみババアは大暴れ。
こどもは泣き出し大人は怒鳴る。
笛吹きゃ太鼓も鳴り渡る。
ミュートのペットも鳴り渡る。

バンカラ大将手合わせし、
場末の見せ物大盛況。
アタシにまかせな、どんとこい。
 アタシにまかせな、どんとこい。

(「四股ふみババア」ordered by Zackey!-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ ぼくが今ここにいる意味2011/05/29 08:35:04

 晴れた日は明るくなる頃に目を覚ます。明るくなるから目を覚ますのか、小鳥たちが活動を開始する気配に目を覚ますのか。とにかくそろそろ太陽が顔を出す直前に目を覚ます。洗面器に少し水を張り顔を洗った水で口をすすいでうがいもする。その水は表の菜園にまく。どんなに僅かな水も貴重だ。赤い首を覗かせ始めたラディッシュを掘り出し、丁寧に布で拭って塩をふってかじる。

 簡単な朝食を終えると家族に声をかけて表に出る。行ってらっしゃいとかすかに聞こえた気がする。歩いて行くと何人か顔見知りの人に会い、おはようございますと挨拶をする。みんな日に焼けて、口を開けると歯が白く、総じてまぶしそうな顔つきをしている。今日はCの11を探そう。Cの11というのはぼくが勝手につけた区画番号で他の人には通用しない。たまに手伝いにきてくれる学生たちは理解してくれる。

 Cの11はかつて商店街だった一角だ。明らかに元々この場所にあったとおぼしきものもたくさん見つかるが、もちろんそれだけではない。あの日、この場所は何度も潮に洗われ、山の麓に建ち並ぶ住宅地にあったものも、海岸だった場所にあったものも、遥か沖合にあったものも、それどころか、どこか他の村や町にあったものも、何もかもが呑み込まれ混ぜ合わされそして出鱈目にぶちまけられたのだ。

 一つの区画は10メートル四方に決めている。理由はそんなにない。何も見逃さないように丹念に見て回るとそれで一日終わってしまう、そのくらいのサイズだ。始めの頃は当てもなく探しまわるしかなかった。家を中心に浜辺と高台の麓を何度も往復しながら、目につくものを動かし、物陰を覗き込み、覆いかぶさったものをとりのけた。

 家から1キロ近く離れたところで時計を見つけた時には息が止まるかと思った。それは娘がまだ幼稚園に通っていた頃、娘からという名目で誕生日に家人からプレゼントされたものだった。けれどもそのようなやり方ではどうしても見落としが出て来ることにも気づかされた。時計にしたってたまたま転んだ指先に、泥の中の固いものが当たったから見つけたのだ。転ばなかったら見つけられなかった。

 そう気づいて、その日からやり方を変えることにした。区画を決めて順番に虱潰しに探す。1メートル角の木枠をこしらえ、それを運び、その日探すエリアに持ち込む。平らな場所には木枠を置き、木枠の中を納得行くまで探す。建物やその残骸が形をとどめているところもできるだけ枠単位で納得行くまで探す。

 これを100回繰り返すと1日が終わる。肉体的にもハードだが、精神的にもかなりこたえる。たくさんの人のたくさんの思い出に否応なく触れることになるからだ。食器類にはなぜかはっとさせられる。箸置きを見るとつらくなるのは妻が箸置きを集めていたことを知っているからだろう。ランドセルや教科書のたぐいも胸がつぶれそうになるが、実際には子どもたちはもうとっくに小学校を卒業している。下の息子だってこの春高校に入るはずだった。

 そういったものを見つけても何もできない。できるのは、持ち主が無事でありますようにと祈ることだけだ。たまたまこれがここにあることを知らないから、知っていても持って行けなかったから、ここに放置されているのだろうと。そして、もし不幸にも命を落としているのなら、どうか安らかに眠りますように。君のランドセルはおじさんが泥を拭っておいたからね。

 家族の元を離れて何年にもなる。正直な話、あの日までは戻るつもりもなかった。けれどもニュースで故郷が失われて行く映像を見て、たまらなくなって戻ってきた。避難所を回り、おびただしい数の遺体を確認し、家族がどこにもいないことを知って町に戻った。自分の家の在り処を探すことさえままならなかった。道も、郵便局も、角の果物屋も、何の手がかりもないのだ。そこが自分の町なのかどうかすら確信を持てなかった。ようやく自分の家の場所を探し当てた時には大声を上げて泣いた。あたりのものを動かし、泥を掘り、その場所には家族がいないことを確認するのに1週間かかった。

 残骸を利用して小屋をつくりその場に住み着くことにした。同じようなことをしている人が何人もいて知り合いになり、お互いに助け合って暮すようになった。この数年間、ぼくは山中でひとりサバイバル生活をしていた。だから一人で生き抜くことは何とかできる。掘り返すものの中には家庭園芸用の野菜類の種などもあり、ありがたくいただいて栽培している。そうして遅ればせながら捜索を始めた。こんな生活をいつまでも続けられないことはわかっている。けれどいまぼくにはこうすることしかできない。今日、それを確信した。

 Cの11を終えようとした時、一冊のよれよれの冊子が目に入った。どことなく見覚えがあったので手に取ると、それはぼくが卒業した年の高校の生徒会誌だった。これがぼくのものか同級生のものかは分からない。けれどまぎれもなくあの年の生徒会誌だった。水にぬれ、ごわごわになったページをめくり、目次に自分の名前を見つけて思い出した。すっかり忘れていたが、当時ぼくは生徒会誌にふざけたエッセイとも小説ともつかぬものを投稿し、それが掲載されていたのだ。

 読むに耐えない文章のおしまいの一節にこうあった。「おれはどうもスポーツでも音楽でもたいしたプレイヤーにはなれそうもない。でもおれはめざす! ベストプレイヤーをめざす! 一文字変えて“祈る人”のプレイヤーだっ!」

 当時は気の利いたことを書いたつもりだったんだろうが、なんとも冴えないダジャレに過ぎない。でもそこには、いまのぼくにできることが書かれていた。ぼくは恐ろしく無力だけど、毎日ひと区画をあらためて回り、そこで見つかったもの一つ一つに祈りを捧げることはできる。無事を祈り、平安を祈り、ものごとが少しでもよくなるようにと祈ることができる。どのような形であれ家族と再会するまで、それがぼくが今ここにいる意味だ。

(「生徒会誌」ordered by こあ-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

◇ アザラシは落ち葉のように眠る2011/05/07 20:09:00

 アザラシは落ち葉のように眠る。
 ざぶりゆらゆら、くるりんくるりん。
 ラクラク浮かんだ兄さんは大水槽の中、
 してやったりと笑みを浮かべるの。

 羽根のように短い腕をいっぱいに広げ
 おもむろに水槽の底に潜るアザラシ少年。
 小さくくるりと水中にらせんを描き
 薔薇の香さえも漂わせつつ。

 脳みその使い道をみんなは知らない。
 喜んで生クリーム占いだって信じる奴らさ。
 うんざりするぜ、と観客を小馬鹿にする兄は、
 にんまり笑って見物料を巻き上げるのだ。

 熱湯の中、蒸発してしまった兄さんを、
 夢遊病のように求めるわたしの望みは
 流浪の一族をいま一度旅に連れ出すこと。
 流浪の一族の遺骨をただ旅に連れ出すこと。
 
(「生クリーム占い」ordered by たいとう-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

140字のSFP/お題についての解説2011/05/05 16:21:51

140字のSudden Fiction Projectにいちはやく賛同して、最も精力的な書き手として
ハイペースで作品を発表したのは劇作家の阿藤智恵(@atohchie)さんでした。

阿藤さんはこのブログに紹介している初期の100のお題をあっという間に消化してしまい、
mixi内で展開されている第2期(ちなみに第3期まで終了)のお題も使いたいと希望され、
オリジナルのSFPと140SFPで番号に不整合が起こるものについて番号を振り直してくださいました。
(その後さらにhiro17911も手を加え全212題としています)。

ということで、140字のSFPについては、以下の連番でお題を公開いたします。
参加ご希望の方はこちらをご利用ください。

お題提供者のお名前が「by〜」とついているものは、
Twitter上で140字のSFPが始まって以降、新たに追加されたお題です。

これを元々のSFPのお題の間に挟み込んだ形で新たに番号が振られています。
元々のSFPには既に通算311ものお題をいただいています(番外を加えるともっと多い)。

え? 従来のSFPの方の作品も読みたいって?
う……。それにはいささか時間がかかってしまいそうです。す、すみません。

140字のSFPお題インデックス2011/05/05 15:40:28

140字のSudden Fictionを書くぞ!という方にずらりと
お題をご用意しました。自由にご利用ください。
「子どもたちと保護者のための140字のお話」
という趣旨をご理解いただいた上でTwitterに書く場合は
ぜひハッシュタグ「#140SFP」をつけてどうぞ。

140字のSudden Fictionの趣旨に関する詳細は下記エントリをご覧ください。
●140字のSudden Fiction Projectについて
 http://hiro17911.asablo.jp/blog/2011/05/05/5846732

=====140字のSudden Fiction Projectお題インデックス=====

【1.カーテン】
【2.リモコン】
【3.駅のホーム】
【4. 鈴木さん】
【5.ウツボ】
【6.ご不在連絡票】
【7.火星の石】
【8.レセプション】
【9.学習塾】
【10.廃墟】
【11.おじいちゃんの帽子】
【12.骨】
【13.ドライフルーツ】
【14.影】
【15.いかさま】
【16.豚の貯金箱】
【17.ハングル】
【18.生え抜き】
【19.ハレルヤ】
【20.ワールドカップ】
【21.カウントダウン】
【22.天国と地獄】
【23.サイコロ】
【24.キャベツ】
【25.大晦日】
【26.正月晴れ】
【27.色気とセクシー】
【28.無意識の中の意識】
【29.恋】
【30.門松】
【31.あいうえお】
【32.5円玉】
【33.単館ロードショー】
【34.流星群】
【35.リクルートスーツ】
【36.七草粥】
【37.急募!「お題」】
【38.骨董女】
【39.198円】
【40.目覚まし時計】
【41.三谷幸喜】
【42.蟻】
【43.ポストイット】
【44.帰り道】
【45.お題】
【46.MJQ】
【47.僕はなぜ急ぐのかだれか知らないか?】
【48.熱帯の雪】
【49.偽計と偽装】
【50.空からの手紙】
【51.パスワード】
【52.鏡と扉】
【53.ロスタイム】
【54.兄弟】
【55.おめでとう】
【56.サニーサイド】
【57.スパイス】
【58.名刺】
【59.彼しか知らない、彼女のほくろ。】
【60.転生】
【61.そこをなんとか】
【62.リンク】
【63.シャコンヌ】
【64.黒点】
【65.踏み台】
【66.飲料水】
【67.視力】
【68.残り火】
【69.シェラザード】
【70.間違い電話】
【71.花嫁への言葉】
【72.Wブッキング】
【73.宝箱と金曜日】
【74.ももくる春】
【75.お姉ちゃん】
【76.空心菜】
【77.雨の日に】
【78.嬉しい!】
【79.凍りついた海を駆ける】
【80.噴水】
【81.ブックバトン】
【82.寝言】
【83.リセット】
【84.太平洋戦争/米国敗戦】
【85.2009 屋久島での出来事】
【86.ウンコマン】
【87.診断書】
【88.ため息】
【89.お誕生日】
【90.お楽しみ会】
【91.殺人事件後】
【92.安本丹】
【93.カタコンベ】
【94.ごほうび】
【95.桜】
【96.お好み焼きをおかずに白米を食べる理由】
【97.左手】
【98.海岸漂流物収集家】
【99.みずみずしい】
【100.魔女】
【101.毛布】by sachikotravelさん
【102.カメムシ】by とらこさん
【103.足の裏】by とらこさん
【104. 待ち遠しい時間】by chiyoさん
【105. 三毛猫】by chiyoさん
【106.モップ犬】 by chiyoさん
【107. 天国】by chiyoさん
【108.カラス】by とらこさん
【109.春の庭】by とらこさん
【110.木綿のワンピース】
【111.麦わら帽子の少年】
【112.祝祭】
【113.鳥かご】
【114.チューブ】
【115.領収書】
【116.手放す】
【117.朝の挨拶】
【118.缶詰】
【119.けし】
【120.卒業アルバム】
【121.再会】
【122.太鼓】
【123.メタモルフォーゼ】
【124.アルミホイル】
【125.ペン先】
【126.証明写真】
【127.学園祭】
【128.好き嫌い】
【129.竹の花】
【130.のりたま】
【131.ラミネート】
【132.うたたね】
【133.胃カメラ】
【134.雲母】
【135.爪】
【136.ブラジル】
【137.ゴッホの耳】
【138.ペットボトル】
【139.咳止め】
【140.聖職者】
【141.割引】
【142.傘】
【143.椎茸】
【144.サムライ】
【145.親愛なる指導者】
【146.胡蝶蘭】
【147.水辺】
【148.半夏生】
【149.大人】
【150.首都高3号線】
【151.A4】
【152.夜更かし】
【153.シマウマ】
【154.追跡者】
【155.働く】
【156.結婚】
【157.延長戦】
【158.使い捨て】
【159.ダンス】
【160.エクセルシオールカフェ】
【161.時効】
【162.レース編み】
【163.異端】
【164.underground】
【165.海風】
【166.後悔】
【167.チョコレート】
【168.水の戯れ】
【169.ユキヒョウ】
【170.首すじ】
【171.印刷屋】
【172.間宮海峡】
【173.交換】
【174.砂漠に降る雪】
【175.貝紫】
【176.最後の審判】
【177.12色】
【178.核実験】
【179.中学受験】
【180.嵐】
【181.短波】
【182.刹那】
【183.美術館の泥棒】
【184.督促期限】
【185.合格通知】
【186.ヒップホップ】
【187.抽き出し】
【188.憲法改正だあ?】
【189.美しい国】
【190.雨がやんだら】
【191.吸血鬼になりたかったのに】
【192.鎖骨】
【193.ねずみ男】
【194.夢遊病】
【195.右脳】
【196.居候】
【197.西瓜】
【198.貿易風】
【199.詩人の恋】
【200.ぼだいじゅ】
【201.二十歳】
【202.mixi】
【203.コミュニティ】
【204.日記】
【205.和音】
【206.いつものやつ】
【207.8月】
【208.Missing Piece】
【209.思いやり】
【210.名残】
【211.悪口】
【212.天使のお告げ】
【213.飾らず自己をさらけ出す】
【214.泣き虫のPちゃんへ】

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140字のSudden Fiction Projectについて2011/05/05 15:27:50

2011年3月11日の震災直後に立ち上げたプロジェクトです。

東日本大震災での記憶が新しいですが、阪神淡路大震災でも、地下鉄サリン事件でも、
911の同時多発テロでも体験したように、大きな天災や事件・事故のあと、
マスメディアをつらい映像や情報が埋め尽くすことがあります。

そんな時、子供たちが無防備にその映像や情報にさらされる状態はできれば避けたいものです。
かといって、他の番組が流れていればそれを見せておけばいいというものでもないでしょう。
そういう時こそ、ふだん以上に子どもたちと保護者さんの接点があることが望ましいと考えられます。

子どもたちに保護者が読んであげるごくごく短いお話を創作するプロジェクト
「140字のSudden Fiction Project」は、そんなことを考えて立ち上げました。
2011年3月14日、Twitterを使ってスタートしました。

過去の作品はTogetterを使ってまとめていますので、リンク先からご覧ください。

●140字のSudden Fiction Project(1)
 http://togetter.com/li/113010

●140字のSudden Fiction Project(2)
 http://togetter.com/li/116192

●140字のSudden Fiction Project(3)
 http://togetter.com/li/124756

◇ 忘れられた老召使2011/03/05 18:27:03

忘れられた老召使はその後も、
忘れられた土地のそのまた片隅の
忘れられた館のそのまた一部屋で
暮らしていた。ひとりきりで。

忘れられた老召使は朝早く起き、
足音も立てずてきぱきと
忘れられた館を見て回り、
何も支障ないことを確かにする。

忘れられた老召使の朝食はささやかだ。
忘れられた雌鶏が生む卵以外は、
忘れられた裏庭で栽培する
いくつかの野菜と手製のドレッシング。

ぱりっと糊の利いた制服、
皺一つなくアイロン掛けしたシャツ、
ぴかぴかの靴、整った髪。
背筋を伸ばし歩く、ひっそりすばやく。

何に仕えてるんだ、忘れられた老召使?
何を守っているんだ、忘れられた老召使?
君の知ってる人はもういない。
君の知ってる家はどこにもない。

やがて忘れられた老召使は
不確かな噂となって
人々の口にのぼるようになる。
「確かに見たんだ。前世紀の召使の姿を」

炎天の、暑い夏の真っ盛り、
場違いに分厚い制服を着て
何か目的でもあるようにすたすたと
敷地の端を歩く君の姿が目撃される。

雪に閉ざされ動くものひとつない
早い冬の夕暮れ、君の足音が聞こえる。
ぎしぎし雪を踏みしめる足音が。
何一つ見落とさない責任感に満ちた足音が。

何に仕えてるんだ、忘れられた老召使?
何を守っているんだ、忘れられた老召使?
君の知ってる人はもういない。
君の知ってる家はどこにもない。

忘れられた老召使はいまもここにいる。
館は取り壊せても、木は伐り倒せても、
人は立ち退かせても、土地は均せても、
ここはここだ、君がここにいる限り。

恐怖と好奇の心が君を伝説に仕立て上げる。
君は君自身についての物語の主人公となって、
人々の心の深く暗い部分を支配できる。
そう。今度は、人々が君に仕える番だ。

(「忘れられた老召使」ordered by shirok-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)