木から生まれた「絵」と「ことば」展2009/06/27 17:29:37

7/13開催予定。
組み木絵師 中村道雄さんと、
ことば師 高階經啓さんの二人展です。
公式発表後、情報追加します。

◇ 春が来た。2009/03/17 22:51:38

な、な、奈落の底めざせ。
り、り、輪廻の果てまでも。
た、た、たちまち舞い上がれ。
く、く、雲の上までも。
う、う、烏合の衆たちよ。
こ、こ、これでもくらわんか。
う、う、運命の旅の空。

な、な、情けはないわいな。
り、り、理想のひと前にして。
た、た、足りぬは我が頭。
く、く、苦戦を重ねたよ。
う、う、嘘を塗り重ね。
こ、こ、子どもだましだね。
う、う、ウラハラな想い。

な、な、なんだか浮ついて。
り、り、理念で語るじゃない。
た、た、たまたま聞きつけて
く、く、苦労を買ってみた。
う、う、うんざりさせられた。
こ、こ、こんなのもういやだ。
う、う、宇宙へ飛び出そう。

な、な、なんでもあの人が。
り、り、立派になったので、
た、た、松明掲げつつ、
く、く、蔵を建てましょう。
う、う、梅干しつけましょう。
こ、こ、子どもも作りましょう。
う、う、憂いをなくしましょう。

成田空港に春が来た。
成田空港に春が来た。

(「成田空港」ordered by 編集S-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

小料理屋「善」でお待ちしています。2009/03/14 16:14:58

仕事で関係しているウェブサイトが大リニューアル。
ということでちょっと宣伝させてください。

「namashibori.com」
 http://namashibori.com/

写真家の梅佳代さん撮影のCMを一挙紹介するギャラリーとか、バーチャル小料理屋「善」とか、遊び心いっぱいにお届けしています。良かったら遊びにきてやってください。

小料理屋「善」はなんと17:00-100しか開店していないという律儀というか時代に逆行というか、そんなお店です。でも時間帯ごとにちゃんと店の外観も変わるのでぜひ営業時間外にも訪れてみてください。

投稿コーナー「送って!小さな善意」は、きっと言葉遊び好きの人にとって参加し甲斐のある懸賞企画ですよ!

ネット上でもありがたいコメントをいただいています。
 http://ameblo.jp/adman/entry-10223577965.html
ぼくが説明するよりはるかに臨場感があるので、サイトの説明はこの方におまかせしちゃいます(笑)。

SFPお題、承ります!2009/02/27 23:13:11

さあ!
Sudden Fiction Project(第3期)のお題募集を開始します。

3/1から連日1日1作ペースで書きまくろうと思っていますので、
どうかみなさん遠慮なく次から次へとお題を投げてくださいませ。
次から次へと書き上げてあなただけの小作品をプレゼントいたします。
通算300作品に到達するまで脇目もふらず書きまくります。
出血大サービス大盤振る舞いの大放出大会です。

お題は頂戴してもお代は頂戴しない、
いつもながらのシステムですのでご安心を!

こう書くと、いろんな仕事から解放されて
のびのび羽を伸ばしているみたいですが、実はその真逆です。
とっくに終わっているべき仕事がどんどんスケジュールがずれ込み
なんだか打ち合わせが無意味に険悪になったりするような仕事が
一つ二つではないという、まれに見るどん底どん詰まり状況です。

こういうときはね、もうね、やるしかないんです。
脳みその大攪乱を起こすしかないんです。
というわけではっきり言って燃えてます。

同様な募集をmixiでもやりますが、
mixiで受けたお題はmixiで、
ブログで受けたお題はブログで発表します。
どちらでもお好きな方をご利用ください。

3月1日から第3期スタートします。2009/02/15 22:58:09

というわけで、間もなくお題も募集しますが、
気分的に「もらったらすぐ書く」という感じでやりたいので、
募集開始は2月末が迫ってから。たぶん2/28にお題募集します。

発表はmixiで、と思いつつ、
第3期はここで発表してもいいかなとも思いつつ。
両方に貼りにくるのは面倒くさいなあと思いつつ。

そのあたりの方針を半月かけて考えます。



        風雲急を告げてる感じ。特に意味なし。→

【お題95】桜2008/04/17 10:20:40

「桜」と言う言葉がどこかに出てくる作品をお待ちしています。
タイトルに限らず、本文中のどこかに1回出てくればOKです。

作品の最後に
(「桜」ordered by さくちゃん-san/text by あなたのペンネーム)
とつけてください。これはお題を出した人への礼儀と言うことで。



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◇ 満開の桜の下の

サイタ サイタ
サクラガ サイタ
桜、錯乱、逆恨み
佐倉の朝倉、膝枕

サイタ サイタ
サクヤノ サクラ?
へそくりまさかり策略次第
イサクら朝から草食らい

サイタ サイタ
サクラヲ サガセ
まさぐらないでエサくらげ
会いたさクラリ、見たさクラリ

サイタ サイタ
サクラヲ サイタ?
いやさ鞍馬の長(おさ)クラバー
NASAから猛者くりゃミサ暗い

サイタ サイタ
サワラト サケダ
大佐クラーク傘比べ
おめざクラッカー土佐暮らし

サイタ サイタ
サクラガ サイタ
格差くらやみ良さ辛さ
袈裟着りゃ形になるさ位

(「桜」ordered by さくちゃん-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

【お題88】ため息2008/04/12 09:35:47

「ため息」と言う言葉がどこかに出てくる作品をお待ちしています。
タイトルに限らず、本文中のどこかに1回出てくればOKです。

作品の最後に
(「ため息」ordered by えりちゃん-san/text by あなたのペンネーム)
とつけてください。これはお題を出した人への礼儀と言うことで。




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◇ 谷間の老人(なぞなぞ2)

 谷間にその人は住んでいて、行けばいつでも受け入れてくれる。ただしいつもその谷間にたどり着けるとは限らない。同じ場所にあるはずなのに、どうしても見つからないことがある。だから時として糸電話に頼ることになる。糸電話はその人とぼくを結ぶ生命線だ。これなくしてはぼくは何も書き進められない。ここのところどうしても谷間に近寄ることができず、だからぼくは糸電話をはじいた。

「何を持っている?」
 糸電話越しにもこちらが見えているようなことを言う。
「いただいた手紙です」
「知らんな」
「詩のようなものを書き記されています」
「そこにはなんと書いてある?」
「『いにしえより知られた名器』。どういうことでしょう」
「想像してごらん」
「想像を。
 怒りでもなく悲しみでもなく、
 とらえどころなくつのるやるせない想いを封じ込め、
 宝石に変えてしまうという言い伝えで、
 古くから知られた器」
「何でできている?」
「恐らくガラス製」

 糸電話の向こうでふうっと息をつくのが聞こえる。 
「悪くない。次には何と書いてある?」
「『潔く心固め、粋』」
「想像を」
「ともするとちりぢりばらばらになりそうな想いを
 一見何の変哲もないガラス器の内にとじ込め、
 深く哀しく光を放つ石に、あるいは意志に、
 固めてしまう潔さをよしとしようというところ?」
「それをもって粋と呼ぶのだな、その続きは」
「『まだ見もせぬ君のため生き』とは、
 会ったことはない運命の人のために生きる、
 ということでしょうか。
 想いを固めた意志の宝石を胸に、
 いつか会うと定められた人のために」

 悪くない、悪くないと呟く声が聞こえる。
「まだあるのか。ならば聞かせてくれ」
「『されば誓いのかた明記』」
「どういうことだ。想像してみろ」
「その誓いを、運命の人との出会いを胸に
 生きていくのだという誓いを書きつける。
 いわば運命に向けての誓約書をつくり、
 いよいよ覚悟を固めるわけです」
「それから」
「『我知らず重ねるため息』。
 ああ。でもどうしてもやるせない想いにため息がもれる。
 そのため息をこの器に集めるんですね。
 古代戦士の妻が涙を溜めたという涙壺のように。
 するとそこに宝石が生まれる。
 ついたため息の数だけきらきらと光る意志となる」

 ふたたび糸電話越しにふうっとため息をつくのが聞こえた気がする。
「なかなか悪くなかった。しかしそれはなぞなぞだよ」
「なんですって?」
「最後の1行が答だ」
「どういうことでしょう」
「もう一度、声に出して読んでみろ。
  いにしえより知られた名器 
  潔く心固め、粋
  まだ見もせぬ君のため生き
  されば誓いのかた明記
 どうだ。知らず知らず“ためいき”を重ねているだろう? それで
  我知らず重ねるため息
 と来るわけだ。どうだ楽しかったか」
「いったいどういうおつもりです」
「書きあぐねたのであろう。いまお前が想像したその話を書けばいい」

 というわけで、この作品は谷間の老人の導きで書かれた。しゃくなのでこのいきさつを全部まとめることにする。ふうっ。

(「ため息」ordered by えりちゃん-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

【お題77】雨の日に2008/02/15 00:31:09

「雨の日に」と言う言葉がどこかに出てくる作品をお待ちしています。
タイトルに限らず、本文中のどこかに1回出てくればOKです。

作品の最後に
(「雨の日に」ordered by aisha-san/text by あなたのペンネーム)
とつけてください。これはお題を出した人への礼儀と言うことで。




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◇ 耳をすまそう

耳をすまそう雨の日に
瞳に映るは壁の染み
いつもと違う鍋の位置
動かしたのは誰と聞き

鼻先くすぐる揚げ餅に
誘われきたる蠅五匹
壁の地図の佐世保市に
止まる姿が羽根小粋

たかが地理だがされど地理
くだまきながら酒を知り
飲んだ拍子に彼とちり
耳をすまさず負け越しに

まあそう言わず待てといい
すぐ差し出した金も効き
都合がつくのが賭の義理
差し出す酒もダメ押しに

不意に何もが影法師に
電気が絶える荒れ時に
聞こえてきたるカメのひび
漏れ伝う酒の垂れを知り

降りしきる音、風と木に
遠くに住める姉恋し
壁に浮かぶはマネと塵
逆巻く波に鮫の死に

頼りなき世の果ての霧
指からませて我と君
ようやく悟る晴れの意味
耳のみで知る雨の日に

(「雨の日に」ordered by aisha-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

【お題76】空心菜2008/02/15 00:22:03

「空心菜」と言う言葉がどこかに出てくる作品をお待ちしています。
タイトルに限らず、本文中のどこかに1回出てくればOKです。

作品の最後に
(「空心菜」ordered by aisha-san/text by あなたのペンネーム)
とつけてください。これはお題を出した人への礼儀と言うことで。




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◇ 芯があるか

 新しい下宿人が入ってから、どうも話がややこしくて仕方がない。

「どうです空き部屋は。なんとかなりそうですか」
「おかげさまで決まりました」
「そりゃあ良かった。どちらの方?」
「どちらっていうか、空心菜なんですよ」
「誰?」
「誰じゃなくて。空心菜」
「変わった名前の方で」

 正真正銘の空心菜だということがなかなか理解して貰えない。

「名前というか、ええと」
「どんな人?」
「だから人じゃなくて空心菜」
「なにを?」
「空心菜」
「ああ。ははあ。それはまたあの随分とその古風な感じですな」
「え?」
「やっぱりあのお武家さんか何かで?」
「オブケサン」
「武道の方をたしなんでおられるとか」
「ブドウ?」
「講談師さんだったりして。一龍斎とかいますよね」
「だから名前じゃないんです。ほらあの中が空洞になった」
「ははあ。つまり口から肛門までを結ぶ空洞であるところの消化器官は体内でありながら身体の外でもあると、そういうことですか」
「そういうムズカシイ話じゃなくて、中国野菜の」
「それはどういう比喩ですか?」

 なかなか通じない。それだけならまだいいのだけれど、空心菜自身がまた変わっている。日中は仕事を探していると言って朝早くに出ていくのだが、夕方まだ早い時間になると帰ってきてひとしきりわたしと話し込んでいく。

「いやなかなか難しいですね。仕事を見つけるというのも」空心菜はやれやれというように葉っぱを広げて下宿のたたきでため息をつく。「だめですかねやっぱり日本人じゃないと」
「日本の方じゃないんですか?」
「当たり前でしょう。中国野菜ですよ」
「でも日本語がお上手だし」
「いろいろ苦労しているんですよ、これでも」爽やかに笑って、それから尋ねてくる。「大家さんはどう思います? やっぱりIT系とか狙うべきですかね」
「さあ」そういうことは人間から尋ねられたって本当にわからないので首をひねるしかない。「わたしにはわかりませんねえ」
「あーあ。これでも結構いいところあるんですけどね」
「いいところを上手にアピールするといいんじゃないですか?」
「『こう見えて芯がしっかりしてます』なんてね。芯はないんですけど、うぷぷぷぷ」
「あ、は、は」こういう冗談にどう付き合えばいいのかわからない。「そうやって受けを狙うのもいいかもしれませんね」
「ま、最悪、大家さんに食べて貰うしかないかなあ。どうです、今晩あたり?」

 空心菜に誘惑されているらしい。

「よしてくださいよ趣味の悪い」
「趣味が悪くなんかありませんよ。だって空心菜ですよ。食べるのが普通でしょう」
「でも下宿していただいた空心菜を食べたことはありません」
「気にしなくていいですって。煮てよし、炒めてよし。なかなかおいしいんですよ。特に芯のところが。うぷぷぷぷ」

 中味が空っぽだから軽薄なのか、軽薄だから中味が空っぽになったのか、とにかく空心菜には振り回されっぱなしである。

(「空心菜」ordered by aisha-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)

【お題71】花嫁への言葉2008/02/06 12:55:16

「花嫁への言葉」と言う言葉がどこかに出てくる作品をお待ちしています。
タイトルに限らず、本文中のどこかに1回出てくればOKです。

作品の最後に
(「花嫁への言葉」ordered by hell“o”boy-san/text by あなたのペンネーム)
とつけてください。これはお題を出した人への礼儀と言うことで。



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◇ 花嫁への言葉

  <誓いの言葉>
 遙か昔華やかな羽根の話だ。
 夏が長く永遠の流れとなるように。
 夜はいつでも良き予感に満ちている。
 目がかすれ飯に困る日が来たって
 平然と、ときにはへらへらやり過ごそう。
 のびのびと二人の時はノリノリでいこう。
 転げ回って声高く笑いふざけあおう。
 とんでもない、途方もなくとびっきりの
 バター頭のバカモノと罵倒されようともね。


  <お祝い騒動>
 ハッピーな発表があるのです
 なかよしの仲居が言いました。
 良い感じの酔いに身を任せ
 珍しいめざしにめろめろ
 平静を装う兵士たちも
 乗る船逃し飲む農夫たちも
 幸運を呼ぶ耕耘機で畑を耕す
 富み栄えるとみせかけて
 バンザイ気分のおばんざい


  <よきことばたち>
 春の箱をのぞいてごらん。花の橋から見える蓮。
 夏に流す涙はきっと、七つの名を持つ波となる。
 酔い心地の予期せぬ寄り道もまた良しとの予言。
 眩暈を呼ぶめくるめくメッセージは恵みの瞑想。
 ヘルからヘローへと経る部屋には平和の壁画を。
 ノリノリに乗せる能力はノルウェーにまで伸び、
 孤高の人さえ子煩悩にする、弧を描く恋の呼吸。
 飛ぶ鳥は時をとらえとこしえに尊い富を届ける。
 倍の喜びをバスに乗せ、晩餐の場にはバラ一輪。


(「花嫁への言葉」ordered by hell“o”boy-san/text by TAKASHINA, Tsunehiro a.k.a.hiro)